クルミを割れた日
“僕はいつも勇気を探る度に 裏返すポケットからあの日が落ちる”
CHAGE and ASKA『クルミを割れた日』は作詞のASKAが幼い頃に“勇気を出して何かを成し遂げた”瞬間を思い出して表現した曲だ。
自分にとっての“クルミを割れた日”を思い出してみる。
それは“車窓”である。
新幹線からの“車窓”。
高校の時、初めて一人で東京へ行った日。
あの時は芝居が見たかったのだ。
学校をサボって、“それ以上に大切なもの”を見に行った日。
平凡な学生だった自分には学校以上に大切なものがなかった。
そして、その学校という日常のレールをはみ出ることが出来なかった日々。
家と学校を往復する以外に大切なものがなかった日々に突如として“乱入”してきた“芝居”。その時、「これを見ないと絶対に死ねない気がする」そんな予感がした。
結果、それは当たることになる。あの日、東京に行かなかったら今の自分はいない。
だが、芝居以上に大切だったのは“一人旅”だった。
一人で広島から遥か遠くの東京に行ったこと。
道に迷いながらも、知らない人に道を聞き目指した青山劇場。
途中、物乞いにあって、訳も分からず1000円“貸して”返ってこなかった青山劇場。
一人でチェックインして、一人で新幹線に乗る。
それらを、自分の決断で行い、学校をサボったこと。
全て全て自分の力で成し遂げたこと。
今では“当たり前”のことだが、この“決断”の連続こそが今の自分を作っている。
自分の決断をまっすぐに進むことこそが“旅”。
“僕はいつも勇気を探る度に 裏返すポケットからあの日が落ちる”
僕にとってはあの芝居を観に東京へ行った日がポケットから落ちる。
そして、今、私は東京にいる。
この歌詞を書いたASKAの“復活”を観に。
“僕はいつも勇気を探る度に 裏返すポケットからあの日が落ちる”
私にとっても、ASKAさんにとっても今日は『クルミを割れた日』。
“再会”は結局、あの日からの“続き”だった。
ありがとう。
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